1998/06/16/(火)

きのう / きょう /あした


こんな圖書館は如何?
このところ、少し個人的な話題が多かったので、今日は少し變えてみる。ハーバードの圖書館を利用していると本當に利用者の便をよく考えていると思う。

  • 先ず檢索だが、カードとコンピュータの兩方が使われているのは日本と同じだが、その情報が非常に詳しいのである。請求番号や發行年、發行場所は當然だが、内容や体裁(大きさ、ページ数他)、キーワード等至れり盡くせりである。またハーバードに所藏してない場合は、他の所藏機關名なども記してある。1枚のデータを入力するのに相當の知識と労力が要求される。このデータをそのまま文獻データベースの定番とも言える「EndNote」でそのまま取り込めるのもよい。また檢索結果をE-Mailで即送信出來るのも便利だ。當然自宅からもアクセスが可能だ。日本でもコンピュータ檢索は普及しているが、未だワープロ仕様のキーボードが多いのは何故だろう。これは速やかにASCIIキーボードかJISキーボードにすべきだと思う。
  • 日本だと恐らく多くの圖書館では、利用者全員が書庫に入って自分で本を探すような態勢にはなっていない。係りに欲しい本を請求するわけだが、ここでは全員書庫に自由に入れる。カードやコンピュータ檢索では見落としがちだし、何よりも書庫に入って書棚を一つ一つ見ていくことが大事なのだ。そこで思わぬ本に出會ったりするものだ。もちろん貴重書はこの限りではないが、それ以外の本はこの方がよい。また日本では開架と書庫に分けているが、リファレンスブックを除いて全部書庫に入れてよいと思う。その方が整理もしやすくなるだろう。

  • 貸し出しの期日はある程度の制限は必要だろうが、貸し出す本の何冊までとかいう制限はなくしてよい。その代わり、別の人が利用したいという請求があった場合は、速やかに聯絡を取って、返却させるのだ。ここでは、それをE-Mailか電話、或いは封書で行っている。また貸し出し期限や返却しなかった時のペナルティーを明示すべきだ。ハーバードでは罰金を課している。

  • 開館時間もある特定の期間を除いて、月から日まで毎日にすべきだ。

  • 閲覧室を廣く取るよりも、書庫の中にStallやStudyを設けた方がよい。またそれらも年間或いは各セメスタ毎に個人のものを確保すべきだ。そこに本をリザーブ出來るようになれば一層有り難い。

  • 圖書館に入るときのチェックは必要ないだろう。館内でのバッグ類の持ち込みも自由にする。書庫に入るときにバッグを持てないのはいろいろ不便がある。ただし、書庫の入り口での身分證明書の提示と、圖書館を出るときのチェックは嚴しくする。バッグを全部開けて點檢するのだ。「入るのは簡単で、出るのは難しい」というアメリカ式だ。

以上のことを實行しようとすれば、かなりの費用と係員の人數が要求されるだろう。しかし、本當に圖書館を利用したいと考えている學生や教員にとっては非常に便利になるはずだ。圖書館は「憩いの場所」や「試驗勉強の場所」とは違うのだから。

【午前】

朝、Yenching Libの係りの人から電話。先週頼んでおいた「The Canton Press」のマイクロが屆いているとのこと。郵便局に寄ってからYenchingへ。(途中で時計屋さんにも寄る)マイクロ(全4本,The University of Chicago Library藏)を受け取り創刊號から見ていく。1835年9月12日が第1號である。最初はCantonで發行されているが、1839年7月6日號からはMacaoになっている。しかし、新聞をマイクロで讀んでいくのは骨が折れる。目が痛くなってくる。12時頃まで讀んで晝食。久しぶりにサイエンスセンターで。

【午後】

Yenchingに戻る前にAndover Libへ。昨日借りたもののうち、2冊をコピーして返却。書庫で他に面白いものがないか探す。この圖書館はどうやら基督教關係が主のようである。Calvin Wilson Mateer(中國名を狄考文)の傳記(1911)やAmerican Church Missionの沿革を記したもの(1900)、廣學會の26周年記念號(1912)、South China Missionの沿革記(1911)を借り出す。その後、再びYenchingへ。今囘「The Canton Press」をどうしても見たかったのには理由がある。Robert,Thomの「意拾喩言」の件である。2度目の出版は「The Canton Press Office」であるが、最初のがどこで、いつ出版されたかを知りたかったのである。で、1937-1938年の號を見ていくのだが、それに關する記述は見當たらない。1840年6月20日號で初めて
「ESOP’S FABLESE,in Chinese with a free and a literal translation into English,by SLOTH,price $2 a Copy」という廣告が現れ、その號の第2面にそれの詳しい紹介が出て來た。なお、Thomの今古奇観の飜譯に關しては早くから廣告が載せられている。第2版の出版が1840年6月ということが確認出來たのは一つの収穫である。一方、初版はどうやら「Canton Press」出版ではないようだ。また、これまで「The Canton Press Office」は「ギュツラフ(Gutzlaff)の編集になる『東西洋考毎月統紀傳』を発行した在華實用知識傳播會(the Society for the Diffusion of Useful Knowledge in China)の印刷所と思われる。」と書いてきたが、どうもそうではないようだ。「The Canton Press」からは基督教の匂いが全くしてこない。純粋な商業誌と見た方がいいかも知れない。
目が疲れたので3時半で切り上げて、歸宅。歸宅するとバーバラさんが困った顔で「小包を局がなくした」と言う。先週不在通知が來ていたもので、バーバラさんが郵便局に取りに行ってくれたのだが、紛失とのこと。困ったものだ。アメリカの郵便は信用出來ない。以前も沈さんが大學宛に送ってくれた郵便物が屆かなかった。今囘は誰が送ったものかわからない。

最近、小包を送って頂いた方はおられませんか?

心當たりのある方はご一報下さい。

【夜】

メールチェック。
ホームページの更新、その他

【今日の食事】

朝食:トースト、コーヒ、ジュース
晝食:ピザ、クロワッサン、サラダ、コーヒ
夕食:イタリアンソーセージ、豆、ポテト、サラダ、コーヒ


3/28-5/31にしたこと

  • 「イソップ中國語飜譯小史」(仮題)初稿(約32,000字)

今日コピー(全巻)したもの

  • 「The Shanghai Baptist college and theological seminary-catalogue」(1902)
    この本は面白い。當時のこの大學の教員名、卒業生、またカリキュラムが詳しく述べられている。

  • 「China Inland Mission:List of missionaries and their stations」(1913)

パソコン關係

  • 斎藤さんの「ことふれ」によれば、最近NewtonMessagePad2100を入手とのこと。私もこれはマルチリンガル對應なので欲しいと思っていたが、日本語版は高いし、それに開發がすでに中止されていることもあり二の足を踏んでいた。でも斎藤さんの情報によると臺灣のサイトから中國語入力ソフトが出ているとのこと。また日本語も可能らしい。それならばこれは考えてもいい。實はこの1ヶ月くらいYenchingの掲示板に「賣ります・買います」コーナーがあり、丁度卒業シーズンで品が結構出ていてその中にMP2100もあるのだ。Newton Keyboardなども込みで$800だ。うーん、交渉してみるか。

【アメリカでの連絡先】

Keiichi Uhcida
C/O Mrs.Barbara
27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA

or

Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA


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