1998/06/25/(木)
本の値段
一昨日、Coopの本屋で「Western books on China published up to 1850」(John Lust,1987,London)を注文したが、完全なオンラインシステムには驚いた。恐らくインターネットである。ハーバードのライブラリー檢索もインターネット直結だ。さすが「情報ハイウエー」の國である。ところで、その本は600pぐらいのものだが、$70近くする。日本圓に換算すると約1萬である。先日、中國語の大學用テキストを見たが、これも4冊セットで同じくらいの値段である。バスの中や大學内の食堂で學生が讀んでいる(ここの學生は實によく本を讀む。食事しながらも大概は本を廣げている。)本は、いずれもハードカバーで、大漢和辭典ぐらいの分厚さと大きさの本が多いが、それなんかはもっとするだろう。日本や中國でも本は高いが、アメリカは更に高いようだ。毎學期の教科書代はかなりの額に上るだろう。となると、大學に行けるのは、當然限られてくる。特にハーバードのような所だと年間の學費が$3000ぐらいというから大變だ。それに宿舍費。私も入ろうかと思ったが安くても$1200ぐらいだから、これは敵わない。やはり、この大學に來るのは、そもそも育ちが違うのだ。いわゆる「血統書」付きというやつだろう。「地球の歩き方ーボストン編」なんかを讀んでいると、「サウスエンド邊りには近づくな」とか「オレンジラインは乘るな」と書いてある。サウスエンドは行かないようにしているが、オレンジラインはチャイナタウンと隣接しているので1駅ぐらいは乘ることがある。確かに、その地下鐵に乘っている人達はレッドラインとは些か様相が異なっていたりする。ましてやハーバードの學生とは比べようもない。電話帳をメモ帳代わりに使っていたり、そこで簡單な足し算や引き算を時間をかけてやっているのを見たりすると、何とも言えない思いに駆られる。そう、これがアメリカという國なのだ。
【午前】
午前中は自宅で待機。その間、Newtonの件でNewYorkに住む人とメールのやり取り。昨日、Yahooの掲示板で見たのでメールを送っておいたら返事が來て、賣ってもいいとのこと。何度かやり取りをしていて、中國人(アメリカ生まれ)で、しかもHarvardを卒業したらしい。。友人がこちらに居て、その人から手渡しでもらえるということで話はほぼ纏まる。金額は「ひみつ」。12時まで待ったが來る様子もないので、大學へ。昨日と同じく燕京レストランへ。定食を食べる。中華というのは榮養のバランスがよく考えられていると今更ながら感心。
【午後】
Yenchingへ。貴重室コーナーに上がって、前囘見た「哈佛燕京圖書館珍藏中文善本書目(未定稿)」を再度詳しく見る。1984年に作られたものだが、完全なものではないようだ。私がカードで檢索したものでも掲載されていないのもかなりある。私に關係するものは餘りない。今日見つけた面白い本は「新刻増校切用正音郷談雜字大全」というものだ。明刊本ということだが、一種の方言と標準語の對照分類語彙集みたいなものだ。以前「正音」について書いたことがあるが、これはまた新しい資料かも知れない。佐藤さんか誰かに教えてもらいたいが、この本は太田先生かどなたか觸れられたことはあるのだろうか?いわゆる「郷談」がどこの方言かが問題だが、たとえば「日頭」が「郷談」で「太陽」が「正音」となっている。もう少し例を挙げる。
早起→清早、天暗→天黒、寒天→冷天、熱水→温水、先生→師傅、湯→湯泉・・
語彙は天文から始まってちゃんと分類がなされている。これは少し時間をかけて調べる必要有り。これもマイクロに撮る豫定。
ところで、昨日Yenchingの主任に「ここの圖書館にあるものは、貴重書も含めて基本的には全部マイクロ撮影が可能か」を尋ねてみた。Conner氏が言うには「全部大丈夫」。ただし、Yenching以外のものは、「各圖書館でその都度聞くように」とのこと。これまではいずれもWidener,Houghtonのものだが、いずれも問題はなかったので、恐らくハーバードにあるものならば全ていけそうである。ついでに「ChicagoなんかのマイクロのDuplicateはどうか」も聞いてみたが、「日本でも同じでしょうが、京大のものを勝手にコピー出來ないのと同じで、それはChicagoに聞かないとダメ」。言われれば當然だ。實は院生のS君が「China medical journal」(初めはタイトルが違うのだが)のことを言っていたので、ここで調べてみたら殆どある。勿論、完全なものはChicagoにあって、そのマイクロの借り出しは以前書いたようにYenchingが無料で手配してくれる(手数料はYenching持ち)。で、それも必要ならばマイクロで持ち帰ろうと考えていたので聞いてみたというわけ。
3時過ぎ歸宅。郵便局から不在通知が入っていた。どうやら午後に來たようだ。5時頃に郵便局まで取りに行く。バスの運轉手に「Arlington Post Officeの近くで降ろして」と頼んでおいたのに忘れられてしまい、随分行き過ぎてから「もう過ぎたんじゃないの?」と言ったら「あ、そうそう。ここで降りて、あっち側のバスにもう一度乘って引き返せ」だって。でも何とか6時までに間に合って無事荷物を受領。東西研からのマイクロだった。これで「中國語譯イソップ」の資料はほぼ揃った。最後の詰めに入る。
【夜】
メールチェック。
ホームページの更新、その他
【今日の食事】
朝食:bagel、ジュース、コーヒ
晝食:中華定食(豚肉と野菜の味噌炒め、モヤシ炒め、チャーハン、蛋花湯)
夕食:チキンスープ、麺麭、サラダ、コーヒ
3/28-5/31にしたこと
- 「イソップ中國語飜譯小史」(仮題)初稿(約32,000字)
今日コピー(全巻)したもの
- なし
パソコン關係
- 上にも記したが、Newtonが入手出來る見込みがたった。やってみるものだ。インターネットの「おかげ」。
【アメリカでの連絡先】
Keiichi Uhcida
C/O Mrs.Barbara
27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA
or
Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA