1998/11/10(火)

中断前の日記(7月最終分)へ


きのう/きょう/あした


Good afternoon !

ボストンからセーラムに向かう列車(コミューター)では、ヨーロッパの列車と違って、車内ではちゃんと車掌の検札がある。「次はどこどこです」というアナウンスも放送ではなくて、車掌が大きな地声でやってくれる。駅はどこか昔の幌馬車の駅のような感じ。プラットホームはなくて、即、地面である。
ところで、今日の検札は11時過ぎだったが、車掌が「Good afternoon !」と言うのだ。もうすぐお昼だから、それでいいのだろうが、セーラムに着くまでいろいろ考えていた。一体、「Good afternoon」は何時から何時頃まで使える挨拶語であるのか?「Good morning」「Good night!」は?
何を馬鹿なことを、当たり前でしょう!と言われるかも知れないが、暫くしてから、これらの言葉は「話している時点」から「将来」にかけてのことを言うのだということに気が付いた。それならば、確かに11時過ぎでも「Good afternoon」は成立する。直訳すれば「よい午後でありますように!」だろうか。
一方、中国語の「Ni zao」「Ni hao!」や日本語の「お早う!」、「こんにちわ!」はどうだろう?これらは、英語の場合と根本的に違っている点があるように思う。それは、いずれも「あなたはお早いですね!」とか「お元気ですか?」というように、相手に現在の状態を「問いかける」言葉なのだ。英語は話し手の「将来に対する一方的な希望」と言ってもよいかも知れない。相手側の現在の状態を確認する言語と、話し手側に主導権がある言語。
一人で列車に乗って退屈なもので、こういうことを考えたりしていた。

【午前】【午後】

今日はまたセーラムの図書館に出かけた。ハロウィンも終わって、「魔女の町」も静かである。本日、見たものは以下の通り。いずれも語誌の観点から面白いものである。

  • 「The Beginner’s first book, or a vocabulary of the Canton dialect」(Rev.T.T.Devan, 1861)
    Pencil(lead)・・鉛筆、Pencil(Chinese)・・筆、Pencil(slate)・・石牌筆
    Tea black・・墨茶(ただし、その音注から判断して恐らくは「黒茶」、Tea green・・「緑茶」
    Newspaper・・「新文紙」
    この本の初版は1858年であって、この3版は実はLobscheidにより改訂増補がなされたものである。

  • 「A vocabulary with colloquial phrases of the Canton dialect」(S.W.Bonney,1854)
    これは、Moriisonの「廣東語語彙集」のような体裁である。ここでも、上に挙げた「鉛筆」の例が見える。
    Pencil A lead pencil・・「鉛筆」
    なお、裏表紙は「咸豐甲寅年鐫 [厂+龍][口+尼]鑒定 翻譯廣東省城俗語 舊中和行」という漢字のタイトルが付いている。

  • 「A lexilogue of the English,Malay and Chinese languages」(Legge,J,1841)
    これも初めて見るが、見開き2ページに、左側のページは英語、マレー語、中国語、そして、右側のページに福建語と廣東語の音注が附されている。
    coffee・・架[口+非]茶、English・・英國話音、英國話、英國之語
    Pencil・・筆

  • 「Catalogue of publications by Protestant Missionaries in China」(1876)
    これは一冊の本かと思っていたが、そうではなくて1876年の例のPhiladelphia万博のカタログのAppendixだった。しかし、およそ1000余りの宣教師の著作が綺麗に整理されていて、極めて有用な資料である。ただ、コピーができないので、次回からパソコンに入力していく予定。


    今日は早めに引き上げるつもりだったが、これだけあるとやはりそうもいかない。
    なお、今回でここは5度目になるが、係りの人に「すでに5回来ているが、毎回$8.50払うのは大変なので、会員になりたい」と再度申し出た。いろいろ関係部署と連絡を取ってくれて、「わかりました。では、会費$40ですが、1回分はおまけしておきましょう」ということ。実は今日と前回は払ってなかったので、まあそれでいいかと手続きを済ませた。ところが、その後、「日本からですか?」「はい、今ハーバードにおります」「え、研究者ですか?」「はい、ビジティング・スカラーです」「それは知りませんでした。Teacherで研究のためでしたら、お金は結構です。会員証もお送りしますが、いずれにしても次回からは自由に出入りして下さい」という嬉しい言葉。いい人に出会ったものだ。
    お昼を食べる時間がなかったので、帰り際にコーヒとオムレツ。気分がいいせいか、食事もおいしかった。6時過ぎ帰宅。

    【夜】

    メールチェック。他

    【今日の食事】

    朝食:トースト、コーヒ
    晝食:オムレツ、パン、コーヒ
    夕食:さいころステーキ、ほうれん草の炒め、ポテト、サラダ、コーヒ


    3/28-5/31にしたこと

    • 「イソップ中國語飜譯小史」(仮題)初稿(約32,000字)

    6/1-7/10

    • 「イソップ中国語訳の系譜」(約40,000字)

    今日コピーしたもの(マイクロを含む)

    • なし

    パソコン關係

    • 特になし

    【アメリカでの連絡先】

    Keiichi Uchida
    C/O Mrs.Barbara Marchese
    27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA

    or

    Keiichi Uchida
    Department of Asian Languages and Civilizations
    2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA


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