1999/02/06(土)
ボストン最終月-
T-Time
ひつじ書房の松本さんから「T-Time インターネット快適読書術」が送られてきた。早速、インストールして「青空文庫」などを読んでみる。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」など背景がなかなかいい。星が流れるのだ。また、文字が読みやすい感じがする。以前、この欄で「パソコンの画面で文章を読むのは私には合わない」と書いたが、T-Timeではスクロールでなくて矢印キーでページをめくるようになっていて、これなら私にもそれほど違和感はない。しかも、ファイルは基本的にHTMLファイルなのでテキスト作成も簡単だ。ボイジャーの製品だが、確かにこれは今後の「読書の仕方」を変えるかも知れない。
ところで、また例の如く中国語が表示できるか試してみた。が、どうもうまくいかない。この辺りは将来的にはどうなのだろうか?PDFならフォントさえあれば表示してくれるが、しかしPDFは非常に読みにくい。読みやすさではT-Timeに敵わない。
自分のこのハーバード日記もT-Timeに落として読むとまたひと味違って読める。お薦めのソフトである。
【今日の一日】
午前中から燕京へ。イソップに「一束の木」というのがある。「1本だとすぐに折れるが、束にしたら折れにくい」という「団結」をうたった話である。実は、この話は「魏書」にもだるのだが、新村出の昔の論文を読んでいたら、「元朝秘史」と「西秦録(崔鴻の「十六国春秋)」にもあるという。そこで、今日はその原典に当たっていた。「十六国春秋」は「漢魏叢書」のものには、この記載がない。「十六国春秋輯補」にはある。しかも、それによると「太平御覧」を引くとある。確かに「太平御覧」巻349兵部・箭の所に出てくる「阿柴」の話をそのまま引いている。「魏書」でもほぼ同じものであったような記憶がある。また、「元朝秘史」の方は、その巻1に出てくる。この2つの話の中身は同じだが、箭の数が違っている。元朝秘史は5本で、もう一方は19本。この数字の違いは一体何なのか?また、新村氏は、この二つの話の出所は恐らく同じで、しかもそれは西方からという可能性を示されたが、私はひょっとしたら、「逆」ではないかと考えている。根據はないが、そういう気がするのだ。
新村氏の「天草本伊曽保物語」にはベラスケスの描いた「イソップ」がある。実は、私も昨年の夏、スペインのプラダ美術館に行った時に、その写真を撮ってきてあったのだ。プラダにはもう1枚「犬の影」の絵もあった。新村氏がその写真を掲げていたのは恥ずかしながら今日初めて知ったのだが、私も結構良いところに目を付けていたと自分で納得。
お昼、燕京レストランで食事をしていると、「ルージュ」という歌が流れてきた。昔、ちあきなおみが歌った、中島みゆきの曲だが、なかなか良い。「作り話がうまくなりました・・。」異国でこういう曲を聴くと何故かしんみりする。
夕方から冷え込んできて、家に戻ってしばらくすると、「ケン、外は雪!」というバーバラさんの声。もう少し積もっていた。このところ暖かかったのだが、また寒波かも。
【今日の食事】
朝食:シリアル(+バナナ)、トースト、コーヒ
晝食:燕京定食
夕食:ホットドック、お豆、コーヒ
久しぶりの「恐怖のホットドック」。しばらく、こういうのはなかったのだが・・。
これまでにしたこと
- 「イソップ中國語飜譯小史」(仮題・・未完)
- 「中国語教育の歴史と現状」(「関西大学一般教育センター紀要」掲載予定)
- 「海外からメールを送りたいーアメリカ編」(「しにか」別冊「コンピュータと中国語」掲載予定)
- 「王韜日記に見れる『化學』と『戴君』についてのノート」
今日コピーしたもの(マイクロを含む)
- 「元朝秘史」の巻1(光緒33年版)
パソコン關係
- なし。
【アメリカでの連絡先】
Keiichi Uchida
C/O Mrs.Barbara Marchese
27 Daniels St,Arlington,MA 02476,USA
or
Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA