2000/01/11

某文庫から「特別複写申請」審査に関しての文書を受け取る。一見丁重な文面のようだが、その内容は少々というか、かなり気分を害するものである。「これまでどういう研究をして、今後は何をどう明らかにするつもりか」「先生の研究の中で当文庫はどのような位置付けになるのか」に始まり、「通常、特別複写許可申請は一人2,3冊となっているが、先生の場合はかなり多い」「これから先、ご検討の文庫所蔵資料をすべて複写されるおつもりか」等々。
こういう文書をもらったのは初めてであるが、要するに私のコピーが多すぎるということであろう。もちろん私も安易にコピーに頼ることは慎みたいと思っているし、先ずはできるだけ自分で資料を購入したいと考えている。現に日本はもとより中国や世界中に手を伸ばして収集に努めているつもりである。しかし、個人では当然限界がある。そのために公共の図書館があるのではないか。それに、東京に在住していて、いつでもそこに行って見れる環境であったり、自由に館外貸し出しが出来る仕組みがあるならともかく、コピーに頼るのはある程度はやむを得ないことではないだろうか。早い話が「出し惜しみ」ではないか。日本や中国の図書館はとにかくこのような「秘蔵」の傾向がある。これはヨーロッパやアメリカの図書館との一番の大きな違いである。どうやら私が多くの資料をコピーして、それを別の用途に使うことを案じているのであろうが、私も一応は研究者のはしくれである。私に「信用がない」と言われればそれまでであるが、これが日本の公共図書館の実情であることを今更ながら痛感した。
別にそこと事を荒立てるつもりは毛頭ないが、今日は一日気分が晴れなかった