1998/06/01/(月)
/ きょう / あした
ハーバードに來て2ヶ月が過ぎた。あっという間という感じもする。中國圏以外には行ったことがなかったが、カルチャーショックもなく、すぐに生活に馴染めたように思う。アメリカという國はなかなか面白い國である。こちらに來る前に、私のホームページに「ハーバード日記」を連載したいと考えていたが、なかなかそれを果たせずにいた。少し余裕も出てきたので、今月から無理をしない程度で開始したいと思う。なお、このページのレイアウト等は野原康宏氏の「喫煙日記」を無斷で拜借している。(野原さんよろしく)
【午前】
朝9時起床。朝食後、いつもの通りバスで大學へ。先ず、Widener LibraryでPremare(Joseph Henri,1666-1735)の「Notitia Linguae Sinicae」(1831)のコピー。200数ページあるので、今日は半分だけ。残りはStallにリザーブしておいたので、後日。本書はラテン語で書かれた中國語學書であるが、マーシュマン、モリソンに続くものであり、それらの影響關係と、些細な點ではあるが、二人稱「Nin」の發音が「gin」と表記されている所に興味を覺える。今後の調査を待つ。
【午後】
大學内のScience CenterにあるGreenhouseで早めの晝食を取った後、Yenching Libraryで「Canton Press」をコンピュータで檢索。Lamont LibraryとHoughton Library、Baker Libraryに所藏。先ずLamontへ。ここはハーバードでマイクロフィルム類を特に多く収めている所である(先日もL’Estrangeのイソップ英譯本のマイクロをここでコピー)が、見あたらず。次に、Baker Libraryへ。ここは、ハーバード・スクエアーからは少し離れており、歩いて20分ぐらいのチャールズリバーを渡った所にある。ただ、今日は何かのイベントがあるらしく、時間がないのでまた明日にしてくれとのこと。最後に、Houghtonへ。すでに何度も行っているので、受付の人とも顔馴染み。最初、登録の時に、ハーバードのID以外にクレジットカードか何かの證明書の提示を求められた、貴重書を収めた所で、閲覧室に入るにも、ブザーを押して中から鍵を開けてもらうようになっている。閲覧室は静寂そのもので、樣々な大きさのウレタン製の書見臺が置かれており、係員が本の大きさに合わせて書見臺を選び、そこに請求した本を載せて机まで運んでくれる。ノートと携帶パソコン以外は持ち込み禁止。筆記用具もそこに備え付けの鉛筆のみが許されている。さて、待つこと10分、「Canton Press」が運ばれて來た。實は現物は初めて見たのであるが、本館には1840年の10月から1841年の10月までの2巻のみ所藏。随分紙が古くなっており、ページをめくるにも慎重にしないとボロボロこぼれる感じ。Robert Thomのイソップの廣告が毎號掲載されていた。この「Canton Press」とマカオと廣東との關係が今最大の關心事である。なお、「Canton Press」は、コンピュータの檢索によれば、Chicagoに全卷揃っている模樣。いずれ、これをコピーしたいと考えている。ちなみに、このHoughtonでは、すでに2度マイクロコピーを請求しているが、日本より随分安いように思う。たとえば、先日も、Marshmanの文法書(約700ページ)のコピーを依頼したが、全部で$70余り。今日、關西大學の東西研からメールが來て、東洋文庫に依頼したマイクロ代が\36,000とのこと。同じくらいの分量であるが、こちらではほぼ1/4である。
【夜】
メールチェック。
林琴南の『伊索寓言』に關する原稿續き。
【今日の食事】
朝食:トースト、コーヒ、ジュース
晝食:サラミピザ、ドーナツ、レモネード($3.70)
夕食:ローストポーク、ジャガイモと人參の煮物、アスパラ、サラダ、コーヒ
午後のおやつ:コーヒ、アップルクロワッサン(at Au Bon Pain $2.51)
3/28-5/31にしたこと
- 「イソップ中國語飜譯小史」(假題)初稿(約32,000字)
これまでにコピー(全巻)したもの
- 艾儒略「西方答問」(「Munumenta Serica」vol.XXIII,1964より)
- Giles「Chinese without a teacher」(1901)
- Morison「A vocabulary of the Canton Dialect」(1828)
- A.H.Mateer「Hand book of new terms and newspaper Chinese」(1917)
- Gonsalves「Grammatica Latina」(1828)
- J.F.D「A vocabulary,containing Chinese words and phrases」(1824)
- Robert Thom「Wang Keaou Lwan pih neen chang han」(1839)
- Y.K.Woo「The life of H.L.ZIA(謝廬隠先生傳略)」(1917)
- Robert Thom「意拾祕傳」(1837?)
- 徐宗澤「明末清初灌輸西學之偉人」(1926)
- 許敬言編譯「伊索寓言選」(1949)
- Francis Xavier’s School「A method of learning to read,write and speak
- English for the use of Chinese pupils PartII」(1883)
パソコン關係
- EndNote3(Mac用とWindows用)・・これは非常に便利なソフトでハーバードのライブラリー檢索結果をそのまま取り込める。(圖書館のコンピュータで檢索し、それをそのまま自分のメールに送信し、自宅でダウンロード)これまでに、歐文資料關係書のうちこの目で確かめたものをすでに100件余りデータとして保存。
- Microsoft Office98(US版Mac用)・・これは「たこ」である。MSは、わざわざマックのマルチリンガル對應をはずしている。買うのは止めた方がよい。
- PalmIII・・大學のショップで聞いたら「約2ヶ月待ち」と言うことで、Cyberianに注文。夜中に注文したのだが、翌日には品物が届く。恐れ入りました。日本語環境のOS Pro2.0がこちらから購入できないか、イケショップに問い合わせ中。
- PowerBook2400cのキーボード交換。大學のサポートセンターで。アップルケアーのお陰で無料。ただし、日本語入力中の「r」「t」で始まる文字の不具合(「ら」が「rあ」になる)と、文字入力中にカーソルが突然飛ぶ症状は一向に解決せず。PB2400が戻ってくるまで、チャンドラを使用していたが、マックの使い勝手にはほど遠い感じがする。
- CLK2.0・・MacOS8中文版と同じIMや、作字機能が追加される。
- ActaPro到着・・中國語も通ります。Good!
- PBのG3を大學のショップで觸っているが、これは實にいい。畫面も大きいし、速い。ただ「高すぎる」。「iMac」は面白そう。
【アメリカでの連絡先】
Keiichi Uchida
C/O Mrs.Barbara
27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA
or
Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA
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