図書館のありよう

きのう/きょう/あした


2013/08/16/(金)
 ドイツに来てからは新しい資料とかは今のところほとんど期待していなくて、一昨日のはほんの「もうけもの」という感じ。
 ただし、こちらの先生方と話していて、いわゆるデーターベースに関する情報については随分と収穫が多い。
たとえば、ベルリンの国家図書館のデジタルアーカイブス
 現在までにこのアジア関係だけども2836種がアップされていて、しかも自由に使用が可能である。
 ハイデルベルクのCOE、および同じハイデルベルク大学の漢学系のデータベースもなかなかのものである。
 後者はもう20年ほど前から私や沈国威氏などもいささか関係してきたもので、オスロ大学のハプスマイヤー氏のデータベースとドッキングしたものであるが、今後、私たちのデーターベースとの協同を考えていくつもりである。
 ところで、今回、最も驚いたのが、ベルリン国家図書館による「クロスアジア」という文献データベースリンク集である。
 この壮大なリンク集に、ドイツの研究機関に所属している人であれば、登録すれば誰でも利用可能になっている。ダウンロードも全て可能である。所属機関は毎年10000ユーロを国家図書館に支払うそうだが、それでこれだけのものが使えるなら安いもの。大体、国家図書館がこうしたデーターベースにかけている予算はおそらく日本では考えられないほどの金額だと思う。日本の国会図書館では到底できそうにもない。いわば国家プロジェクトである。すごい国があるものである。

 今日はフランクフルト大学図書館館長とも面談した。今後機会があれば協力関係を結んでいくことで基本的には一致した。それにしても、大学の規模としては学生数が4万だから関西大学より少し大きいだけ。とことが、図書館の専任職員はと尋ねれば200人以上とか。関大はたったの20数人。この違いは何なのか。しかも、こちらは全てが図書館の専門知識を有したものである。
 またこの大学の図書館は入るのに、IDカードなど一切必要ない。書庫も誰だって入っていけるのだ。コモンズなどは、わざわざ語るまでもなく、当たり前に導入されている。カフェも普通にある。これが欧米の図書館なのだ。東洋の図書館でこんなのはまずないだろう。日本の図書館のあり方(これについては私も館長挨拶で一応の所信を述べている)を根本から考え直すときに来ていると思う。