1998/09/08/(火)

中断前の日記(7月最終分)へ


きのう/きょう/あした


ヨーロッパの古本屋

今回のヨーロッパ旅行にはいくつかの目的があった。一つは大英図書館とフランス国立図書館での資料探し、もう一つは古本屋めぐり、それにドイツでの「近現代中国語学術用語国際シンポジューム」の參加である。そのうちの「古本屋」について今日は簡単に触れてみる。

ロンドンの大英図書館付近には何軒かの古本屋がある。どこもいい本を集めているし、しかもよく整理されている。そのうち中国あるいは東洋関係で見逃せないのが「Fine Books Oriental」である。値段はそれなりだが、馬禮遜の「五車韻府」なども置いてある。ロンドンではほとんどの店がWWWのページをもっているようで、インターネットで目録を見ながら注文できるようになっており、これは便利である。
フランスでは、坂出先生の「東西シノロジー事情」(東方書店)を専らガイドブック代わりにして一応全部歩いてみた。何軒かはあいにく土曜、日曜あるいは夏期休暇で閉まっていたが、「L’HARMATTAN」「Librairie Oriens」それに「鳳凰書店」「友豐書店」はじっくり見ることができた。「Librairie Oriens」のご主人は非常に親切で「どういう関係の本を探しているのか」とか聞いてくれ、奥からいくつか出してきてくれた。艾儒略の本があったが、2800フランではちょっと手が出ない。ここもWWWやE-Mailでの注文を受け付けている。「鳳凰書店」でもCordieの本がないか聞いてみたが、その後早速E-Mailで返事が来ていた。「友豐」では中国の新刊書をいくつか購入した。
ポルトガルのリスボンにも面白い古本屋がいくつかある。いずれも「サンロッケ教会」付近にあるが、ここでも土、日にぶつかったために入れたのは3軒だけだった。ただ、そのうちの1軒はなかなかのものである。ゴンサルベスなどを聞いてみたが、入手は難しいが入らないこともないとのこと。大体、ゴンサルベスと聞いて即、返答があるところが素晴らしい。
ドイツ、ベルギーではあいにく情報を得られなかったが、今回のヨーロッパの古本屋の中で圧巻だったのはオランダである。アムステルダムには多くの古本屋があるが、そのうち歴史博物館前の「B.M.ISRAEL」は凄かった。ベルを押して中に入れてもらって驚いた。天井までの本棚にぎっしりと古書が並んでいる。しかも相当古いもの。アシスタントがいろいろ本を出してくれる。しばらくして一人の老人が正装して登場。品のある見るからに紳士であるが、私の関係分野を聞くと、アシスタントに命じて本を持ってこさせる。フォルモントやジュリアンあるいはメドハーストの辞典などが机に並べられた。どれも値段は100万から80万ほどするが、こんな本があるのだ。とても手が出ないが、見ただけで幸せというものだ。しかも、買いそうもない私にそのご主人は親切に語りかけてくれる。「今日は本当に嬉しい」というと、「私もそうだ。この種の本は最近入手が困難だが、私も見ているだけで幸せなんだ」と言ってくれる。記念写真だけを撮ってきたが、今日見た本の概要を書いたものを後日送ってくれるとのこと。他の本屋もいくらか面白いのがある。アムステルダムにはまた来たいと思っている。
今回の旅行では「地球の歩き方」は非常に役に立ったが、「古本屋の歩き方」とか「図書館の歩き方」というものがあればとつくづく感じた。どなたか一緒に作りませんか??

【午前】【午後】

大学も新学期が始まり活気が出てきた。今日は1日久しぶりにYenchingでお勉強。増田渉の「イソップ」の論文を読み返しながら、そこにある資料を探す。増田先生が未見と記されているものもほぼ見ることが出来た。実は、パリの国立図書館で「況義」をようやく見ることが出来たのだが、新村氏の述べられたもの以外にもう1冊あったのだ。また新村氏が「イソップ以外支那の寓言警語の類が十余条」と述べられている点もどうやら間違いのようで、それらもよく読むとイソップのようだ。いずれもマイクロに収めてあるが、ここ暫くこれにかかるつもり。なお、ルーバンでも未整理の漢籍を書庫で調べることが出来たが、そこにも2冊面白いものがあった。それもイソップなのだが、「意拾喩言」との関係が興味深いものがある。

【夜】

メールチェック。

【今日の食事】

朝食:トースト、コーヒ、ジュース
晝食:燕京定食
夕食:中華風チキン炒め、ライス、サラダ、コーヒ


3/28-5/31にしたこと

  • 「イソップ中國語飜譯小史」(仮題)初稿(約32,000字)

6/1-7/10

  • 「イソップ中国語訳の系譜」(約40,000字)

今日コピーしたもの

  • 「Records of the General conference of the Protestant Missionaries of China」(1877)
  • 「Records of China centenary Missionary conference」(1907)
  • 「泰西著述考」(「西学輯存六種」王韜)

パソコン關係

  • 今日初めて「iMac」に触る。これはいい。ひよっとしてマックはこれで巻き返すかも。そんな感じを抱かせるマシンだ。生協価格で$1225。この値段でG3。欲しいけど帰国するときが大変そうなので我慢我慢。でも、キュートで色もいい。

【アメリカでの連絡先】

Keiichi Uhcida
C/O Mrs.Barbara
27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA

or

Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA


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