1998/10/15(木)
電子メール
電子メールは確かに便利で、世界中どこにいても、いつでも誰とでも交信できる。こんな便利なものを利用しない手はない。世界が近くなる。もちろん、葉書や手紙も時にはいいものだし、何と言っても書き手の人格がにじみ出る。これもまた捨てられないものである。要するに使い分けだろう。
ところで、同僚もいつか書いておられたが、電子メールが普及したのはいいのだが、一方で、あくまでも「メール」であって、それなりの「形」が必要なのに、それがおろそかにされてきている。こんなことは書きたくはないが、昨日頂いたメールがその例である。私信を公開するのは問題だが、一体、「誰が」「誰に」宛てたメールか分からないような内容だから、敢えてここにご披露する次第。
初めましてこんばんわ。
私は今、大学の４回生で、卒業論文に「イソップの翻訳の歴史とその文学性」について記そうと考え色々と調べています。そこで、このホームページに出会い、もし・・・の２作が読めればと思いこのメールを書きました。
いかがなものでしょうか？
ご足労とは思いますが、何卒、宜しくお願いいたします。
拙稿をご覧になりたいということはわかるが、「いかがなものでしょうか？」と聞かれても困ってしまう。卒論で私が今やっていることと同じ題材を扱っておられるようだから、少しでもお役に立ちたいとは思う。論文が入手困難であれば、送って差し上げてもよい。しかし、どこに送ればいいのでしょう？送信者のアドレスはわかるが、一体、どこの大学の学生さんで、お名前は（送信者の欄ではローマ字名だけだからわからない）？
こんな愚痴をこぼすようになったのは、私も年をとったということかも知れない。が、どこか変だと思いませんか？
私も「形」ばかりにとらわれたくはない、しかし、「形」が必要な場合もあると思うのである。
王韜の『[くさかんむり+衡]花館日記』（咸豐五年）に見える「化学」
十有四日丁未是晨郁泰峰來同詣各園遊玩戴君特出奇器盛水於杯交相注易頓復變色名曰化學想係[石＋黄]強水所製出顯微鏡相視一髪之細幾粗如拇指皎白有光呈巧獻能各臻其妙洵奇觀也巳刻麥公往龍華・・・
なお、この戴君については、咸豐四年(1854)八月十二日の日記に登場する。
十有二日戊申潘氏舊宅近於北城是日有紅巾四五十輩至其宅取物其僕奔告予特同英人戴君驅逐之暮往潘氏室
また、上の「麥公」とは「麥都思」つまりMedhurstのこと。日記には、この他、慕維廉(Muirhead)や「壬叔」すわわち「李善蘭」がしばしば登場し、王韜と「墨海書館」との関係の深さが窺い知れる。
【午前】【午後】
午前中、とりあえず上記の該当部分が含まれる「王韜日記」第１冊をコピー。これはカーボン紙に手書きで写したもので、手が青くなる。それにしても、よくもこれだけのものを書写したものだ。なお、本書はこの大学の「Paul A. Cohen」氏から燕京図書館に寄贈されたもの。氏は「Between Tradition and Modernity:Wang T’ao and Reform in Late Ch’ing China」(Harvard University Press,1974)のを著した王韜の専門家。幸い、ここで知り合った台湾出身の先生（テキサス在住）の知人ということで、近々紹介してもらうことになっている。
午後も、残りの「日記」（ただし、書目等は省く）をコピー。これは大学前のコピー屋さんで。大学でコピーするよりも安くなる。一応、大事な箇所はコピーが終わったので、明日にでも沈さんに送るつもり。その後、図書館で、昨日の続き（「意拾喩言」とL’Estrange版との比較）をやって帰宅。なお、コピー屋さんでは、簡易製本もやってくれるようなので、早速「意拾祕傳」を製本。と言っても、ファイリングだが。
【夜】
メールチェック。他。
【今日の食事】
朝食：トースト、コーヒ
晝食：ピザ、チキンバーガー、フライドポテト、牛乳
夕食：ステーキ、豆、ポテト、サラダ、コーヒ
3/28-5/31にしたこと
- 「イソップ中國語飜譯小史」（仮題）初稿(約32,000字)
6/1-7/10
- 「イソップ中国語訳の系譜」（約40,000字)
今日コピーしたもの（マイクロを含む）
- 王韜日記
パソコン關係
- 特になし
【アメリカでの連絡先】
Keiichi Uhcida
C/O Mrs.Barbara Marchese
27Daniels St,Arlington,MA 02174,USA
or
Keiichi Uchida
Department of Asian Languages and Civilizations
2 Divinity Avenue,Cambridge,MA 02138,USA