池原先生さようなら
2010/03/11(木)
今日は、夕方から東京で、「池原悟先生追悼講演会」が開かれた。
池原先生と言っても、知らない人も多いかも知れないが、私もその創設から関係している「言語・認識・表現」研究会の主査で、日本における自然言語処理の金字塔である『日本語語彙大系』(岩波書店)の編纂者、NTTの機械翻訳ソフトの開発者である。
NTTからその後、鳥取大学の工学部知能情報工学科に移られて、昨年暮れ、65歳で亡くなられた。
「言語・認識・表現」研究会は時枝ー三浦つとむ言語理論によって言語を研究する者と自然言語処理の研究者が相互交流、相互研鑽を目的に作られたもの。
私はもう何年も参加出来ていないが、確実な歩みを続けている。
今回、池原先生の新刊書『非線形言語モデルによる自然言語処理』(岩波書店)を会場で購入。これは、言語学、翻訳学をやるものは必読だ。とりわけ、「閑話休題」というコラムは、言語と意味、構造、認識論、フィルモア、チョムスキー、認知言語学などについて、極めて簡潔にその欠陥を指摘しているが、若い言語学徒には是非とも一読を勧めるものである。
私もこのところCSACやCOEに深く関わっているせいで、本当にやりたいもの、言語の根本原則に関わる問題や、ライフワークと考えている「中国語はどういう言語か」をものにする時間が取れていないが、ぼちぼち、そちらの方に重点を配分していきたいと思っている。
そんな刺激を受けた講演会だった。講演会といっても、先生の生前の講演の録音ですけど。