平成18年度吹田市成人祭挨拶
吹田市教育委員会委員長 内田慶市
成人を迎えられました皆さん、おめでとうございます。
「成人の日」と言っても、昨日までの1日と別段、変わることはないかも知れません。でも、やはり、今日は皆さんにとっては「特別な日」であるはずです。20年を生きてきたという節目の1日であり、ここで、ちょっと立ち止まって、これまでを振り返り、そして、これからのことを考える、そんな1日が人生の中には、あってもいいのではないでしょう。
さて、成人を迎えられました皆さんに私がお話ししたいことは2つです。
1つは、「命」を大切にして欲しいということです。
今ほど、命の重さが軽(かろ)んじられている時代はないように思います。世界では今もテロと反テロという名目の戦争がやむことはなく、そして犠牲になるのはいつも、小さな子供や女性、老人なのです。この国でも多くの子供たちの尊い命が奪われ続けています。どうか、このような現実から目をそむけないで欲しいと思います。子供たちの命を守るのは大人の責任です。今日から大人の仲間入りをした皆さんにも、その役割の一旦を担ってほしいと願っています。人は皆、顔立ちも、生き方も、育った環境も異なります。自分と同じ人間はこの世には存在しないのです。人は皆違っていて、それでいいのです。しかしながら、誰もが一つの尊い命を持っています。そして、人はみなこの世に生を受けた以上、与えられた自らの生を生き抜く権利を持っているのです。それを他人の勝手で奪うことは決して許されないことだと思います。どうか、命を大切にして下さい。
2つめは、「青春ど真ん中」の皆さんに、お聞きするのは野暮なことかも知れません。それでも、あえてお聞きましょう。「青春とは何でしょうか」「若さとは何でしょうか」
もちろん、その答えは人それぞれで違うでしょう。
たとえば、サムエル・ウルマンという人は「青春」という詩の中で次のようなことを述べています。
青春とは、人生のある期間を言うのではなく、心の持ち方を言うのだ
バラの面差し、くれないの脣、しなやかな手足ではなく、たくましい意志、ゆたかな想像力、もえる情熱、臆病をしりぞける勇猛心、安易を振り捨てる勇気、これを青春というのだ。
年を重ねただけでは人は老いない。理想を失うとき、はじめて人は老いる。
歳月は肌のしわを増すが、情熱を失うとき、精神はしぼむ。
私がこれにさらに付け加えるとすれば、全てに「なぜ?」という「疑問」を持つことだと思います。「今ある幸せから疑ってみる」ことです。「1+1=2」から疑ってみることです。通説と言われるものを鵜呑みにせず、権威に盲從しないことです。「若さ」とはそういうものではないかと、青春を過ぎてしまった私は考えています。
いずれにせよ、皆さんは私たちよりは「時間」が多いということは確かなことです。私があと30年生きるなら、皆さんは少なくとも、あと50年は生きられるでしょう。この国の、そして、地球の未来を皆さんに託したいと思います。どうか、頑張ってください。