「海外からメールを送りたいーアメリカ編」(「しにか」別冊「コンピュータと中国語」掲載予定)

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海外からメールを出したいーアメリカ編

内田慶市


現在、私は在外研究でアメリカにいるが、電子メールは日本に居る時以上に必要不可欠のものとなっている。三度の食事よりも重要と言っても過言ではないほどである。まさにリアルタイムで情報交換ができるわけで、違いは時差だけである。

ところで、アメリカからメールを送受信するといっても、別に日本で利用するのと大差はない。必要なものは、パソコン本体、モデム(あるいはイーサーネット接続用機器)、インターネット接続用ソフト、メールソフト、それにメールIDなどである。メールIDは日本で使っているものをそのまま利用するのもいいし、新たに現地で所属機関から発行されるものやプロバイダに加入して取得しても構わない。ここでは、電話回線を利用して、日本のメールアドレスをそのまま使うことを前提とするが、問題になるのは、アクセスポイント(接続先)と文字化けである。

アクセスポイントについては、以下のようなものが考えられる。

(1)現地での所属機関等のアクセスポイント

(2)現地で加入したプロバイダのアクセスポイント

(3)日本のプロバイダの現地でのアクセスポイント

(4)ローミングサービス

(5)国際電話回線を利用した日本のアクセスポイント

(1)が最も現実的である。ただし、その環境が得られない場合は、(2)以下のものとなる。(3)は私の加入しているプロバイダはアメリカではニューヨークにしかないので、いくらアメリカは電話代が安いからと言っても、やはり「長距離電話」になってしまう。(4)は、現地での提携プロバイダのアクセスポイントに接続するというものだ。私の場合は、ヨーロッパはほぼこれでカバー出来た。ただ、ローカル通話だから電話代は心配ないが、接続料金が従量制(1分20円)だから少々高くなる。(5)は万策尽きた時のもので、非現実的である。結局は、(1)から(4)で自分に合ったものを選択するということになるであろう。

さて、アクセスポイントが確保されたら、その後の手順は日本に居るときと変わりないが、プロバイダによっては「SPAMメール(ダイレクトメールのような大量なメール)」を防ぐために「送信」の際に「認証」を行う場合がある。従って、先にいったん「受信」してからでないと「送信」が拒否されることがある。これを防ぐには、メールソフトの設定の際に、アクセスポイントのSMTPサーバーを記入することである。

文字化けについては、日本から持参したパソコンならば通常は日本語環境だから問題はないだろう。もちろん、アクセスポイント先によっては、まま2バイト(日本語や中国語)を通さない場合がある。この場合はお手上げである。現地の所属機関等のパソコンで專用線で接続されているものを利用するときは、システムとメールソフトが2バイト系言語に対応しているかが問題となる。私の場合、ときたま所属機関でアクセスするが、システムは2バイト対応(マックにJLKやCLK、KLKが入っている)でも、メールソフトが2バイトに対応していないために日本語(中国語も)のメールが文字化けして読めないということになる。

なお、メールソフトを使わずにメールを送受信することも可能である。もちろん、この場合もWWWが見れる環境が最低限必要ではあるが、「hotmail(http://www.hotmail.com)」を利用することである。これはマイクロソフトによるWWW上の無料のメールサービスであり、登録すれば「どこでもメール」が実現する。双方に日本語環境があれば、日本語も当然利用できる。ただし、私の経験では利用者の情報が漏れる恐れもあるようだ。

最後に、日本では「インターネットカフェ」のような場所が増えてきているが、アメリカではこの種のものが意外と多くない。それだけ職場や学校などの端末がどこでも利用できるように張りめぐらされているということである。図書館の検索なども同様で、アメリカ国内はもちろん、世界中の図書館にアクセスが出来るようになっている。檢索結果も電子メールで自分宛にすぐ送れるし、図書の請求や調査もメールで可能である。さすがに「情報ハイウエー」の国である。(1998.1.1)

(関西大学・現在、ハーバード大学客員研究員としてボストン在住)


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