自分の目で確かめること

きのう/きょう/あした


2013/07/31/(水)

  今日は「ある本」にようやく巡り会えた。
  それにしても、何にでも当てはまることであるが、特に、書籍を扱う場合は「自分の目で確かめること」が鉄則だということを改めて確認できた。
  今回のサンクト・ペテルブルグでの最大の目的は幻の漢訳聖書(これも昨年来、上海で発見されて幻ではなくなったが)であるPoirot(賀清泰)の『古新聖経』の満漢合壁版を見ることだった。この満漢本こそが、後の漢字版の元になったと言われているもの。そしてこれに関しては、かつて韓国の研究者が東洋文庫所蔵本(これは満州語のみ)を中心に触れていた。特に、ペテルブルグに所蔵されているものについて、Volkovaのカタログを元に書いていた。ただ、今回、この現物をようやく見る機会を得たが、そもそも、そのカタログの体裁に関する記載が間違っていて、それをその論文はそのまま引用しているから問題なのだ。
  このPoirot本についてその論文には「100+5枚、各頁8行、大きさは34×23.5と25.5×8」と書かれている。ところが、実際には、「101+5」枚だし、大きさは34×23.5は合ってるが、中の罫の部分の大きさは25.5×18なのであり、各頁の行数も10行なのだ。つまりは、この研究者は現物を見てないことが明らかである。同じように、Lipowzowの満州語版の体裁の説明も間違っている。カタログでは、大きさについて、「30×18,24×13」となるのだが、この人は、「大きさは30×18と24×13の2種類がある」ととんでもない間違いをしでかしているのだ。
  つまりは、こういうことは、現物を見れば即解決すること。それを怠るととんでもない恥をかくということだ。心しなければ。

  今夜は中国人から聞いていた中華を食べに40分もかけて出かけたが、がっかり。麺はないし、他のものもまずい。これは中華ではない。でも、確かにここには中華が少ない。
今日で7月も終わりだが、ホテルへの帰途で、風が昨日よりも「冷たく」なっているのを感じた。確実に秋がやって来たのだ。物思う秋の到来だ。

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