母よりも先に逝ってと祈りつつ三十路の息子看病の日ー「美しい国」の実態

きのう/きょう/あした


2007/07/23(月)

知的障害のある10歳の息子を殺害した母親に懲役7年の判決が下ったという。
それにしても、軽い知的障害があるその母親の生い立ちも悲惨なものである。
母子家庭で育ち、9歳で母と死別。その後、養父母にあずけられるが虐待を受ける。
結婚して2男2女をもうけるが、夫は借金を残し失踪。
次女は1歳7ヶ月で髄膜炎で亡くなり、長女も16歳で死亡。
生活保護を受けながら知的障害のある2人の息子を育ててきたが、いじめを受ける子どもは登校拒否。
死を覚悟した母親は「死ぬ前に一度乗せてやりたい」と、新幹線で新潟への死出の旅に。
結局、そこでは死にきれずに、日比谷公園で眠りについた息子をベンチに寝かせ「翔君、ごめんなさい」と言ってナイフで刺殺。(朝日新聞7/21)

これより少し前に朝日に掲載されていた上記タイトルの歌も悲しいものである。
過労で倒れ意識のないまま寝たきりとなった息子。
その息子に対する母の本心を吐露した歌である。
親より先に旅立つのは何よりの不孝であったはずなのに・・・。

これがこの「美しい国」の実態である。
このような弱者を救えない国が「美しい国」であるはずがない。
「教育再生」を語る識者はこの現実をどう考えるのか。
それに答えることに出来ない議論は不毛以外のなにものでもない。
「強者」「勝ち組」の論理で今のこの国の状況を変えることはできないのだと思っている。