遠き己に会いに(続)

きのう/きょう/あした


2004/06/14(月)

先日、少し触れたが、道浦母都子さんの「我が心の旅」の再放送を今朝見ることが出来た。
朝の出勤前の慌ただしい時だったので、腰を落ち着けてじっくりは見れなかったが、道浦さんが「金子文子」を詠んだ歌は心に浸みた。

 欲しいまま 生きて 己を貫けば
    われの滅びの 美しからむ

アナキスト朴烈と共に死刑判決を受け、恩赦による減刑も拒否して23歳の若さで刑務所で自ら縊死を選んだ金子文子の生き様を、31文字の中に表現し尽くしているように僕には思われた。
「捨て去って」さらに「捨て去り」、凝縮に凝縮を重ね、凝縮され尽くした結晶の中で、この歌は無限の光を放っている。そこでは、道浦さんの魂と金子文子の魂がまさに一体となっている。「歌」のすごさをまざまざと感じた。

「己を貫く」ことの尊さ。
「人の生」とはかくありたいものである。