地上の星
2007/04/26(木)
地上にある星を 誰も覚えていない
人は空ばかり見ている
・・・
名だたるものを追って 輝くものを追って
人は氷ばかりつかむ
ご存知中島みゆきだが、今日の恐竜皮膚痕化石の発見のニュースはまさにこれだと思った。
勝山は恐竜の町。僕の家から車で10分ぐらいのところに恐竜館がある。そこには、化石発掘を実際に体験できる「どきどき恐竜発掘ランド」もあるのだが、今回の化石はそこに運び出されていた岩石の中から発見されたという。
宝はそんなところに眠っていたのだ。
人はともすれば輝くものだけを追い続け、それを遠く空の彼方にまで見つけようとする。でも、本当の輝く星やビーナスは私たちのごく身近にあるものなのだ。私たちの足下にころがっているのだ。
その瓦礫や小石の中に眠っている「お宝」を見つけ出すには、漫然と眺めていても決して見つからない。「見えていても」「見えない」ものがあるのだ。
それを見つけ出すには、とぎすまされた「嗅覚」が必要となる。注意深い観察力が求められる。そして、それは日々のたゆまぬ研鑽の積み重ねの中からしか生まれてこない。これに「すべてを疑う」ことを加えればもう完璧である。
その道の専門家は、この独特の嗅覚を備えている。少なくとも、古書を見つけ出すことに関して僕はそのような経験を沢山持っている。古本屋のうずたかく積まれた古書の中から、その本は「匂い」を放っていて、僕に「ここにいるよ」と呼びかけてくれるのだ。よく人から「あなたは本探しではラッキーな人だ」と言われるが、それは実はそういうことなのだ。
なにはともあれ、奇をてらわず、日常の地道な研鑽から本物つかむことができるのだ。
そして、そのことを「地上の星」で表現した中島みゆきはやはり当代随一の作詞家なのかも知れない。
そんなことを今日のニュースを見て思った。