「16世紀文化革命」
2007/06/13(水)
山本義隆氏の新刊である。みすず書房から出ている2冊本。
前著『磁力と重力の発見』(みすず書房、全3巻)は読もうとはしたものの歯が立たず。今回のは、言語についても書かれているし、ルネッサンスの科学技術史、知の世界の地殻変動を問題としており、何とか読み進められそうである。
それにしても、このような人が在野で頑張っていることを世の人々、そして何よりも若い人々とアカデミックを自称する人々には知って欲しいと思う。
学問というのは決して大学とか研究所といった、いわゆるアカデミックな世界だけでなされる営みではないということを。もちろん、それは昨今の「誰でも博士」というか、「社会人はお客様・神様=優遇=「博士量産」といった次元とは全く異なるものでもあるのだ。
今の若い人には、「山本義隆」と言っても多分ピンとこないであろう。『知性の叛乱』の著者と言っても誰も知らないだろう。でもあの時代を生きた人にとっては、彼が今このような形で自らの成果を世に問うていることに涙してしまうのだ。そして、そのような生き様を目の当たりにしたとき、今の日本の大学の教員や、世界最高水準の教育研究機関等々がまるで「小さく」「ちっぽけ」なものに見えてしまうのだ。
彼を私たちは乗り越えられているのだろうか?そんなことを思ってしまうのだ。