複言語主義というけれど・・・

きのう/きょう/あした


2010/07/21(水)

15日からドイツに来ている。
フランクフルト大学でのワークショップと、資料調査。
ワークショップは少人数ながら中身の濃い議論ができたし、大学の思いがけない貴重書にも出くわせた。ただロブシャイドの生家探しは徒労に終わった。その町(ミュンスターの郊外の町)に行ったが、新しい町に生まれ変わっていて、あるはずの教会も小さな町の集会場に変わっていた。また改めて情報を集めるしかないようだ。
ところで、ドイツに限らず、ヨーロッパに来た時にいつも不思議に感じるのが、母国語主義というか本国主義である。テレビはほとんどが、母国語放送のみである。
もちろん、日本だって、韓国だって、大抵の国は母国語放送なのだが、問題は外国のドラマや映画の放送での吹き替えである。日本だと、あくまでも音声は原語で、それに日本語の字幕が付くというのがかなり多いのだが、これがヨーロッパではほとんどないと言ってよい。確かにアジアでも日本以外はそうなのだが、ヨーロッパは英語が本来通ずるはずだから、英語のものは原語であってもいいだろうと思うのだが、そうはなっていないのだ。
ドイツでは、外国語教育において「複言語主義」が叫ばれているはずなのに実際にはそうはなってはいないのだ。むしろ、こうしたメディアでは徹底的に英語を排除しようとしているようにさえ思える。
英語帝国主義も問題だが、その逆の母国語主義も、実は狭隘な民族主義に基づくセクト主義に他ならないのだ。そんなことを今回も感じた次第。