あけましておめでとうございます

 あけましておめでとうございます。
さて、その日、彼女は一人で写真館に行き写真を撮りに行き、帰りには桜餅を買って帰ったそうです。そして、夕食後、子供を風呂に入れ、沢山の童謠を歌ってやったそうです。やがて、祖母と眠りについた子供の寝顔をしばらくのぞみ込みながら「可愛い顔して寝とるね」と言ったそうです。これが彼女の最後の言葉だったそうです。
この彼女というのは、3歳の我が子を守るために26歳の若さでこの世を去った金子みすずのことです。
私は最近、この金子みすずにこだわっています。
「みんなちがって、みんないい」という歌も好きで、世界中の多くの人にこの歌を知ってもらいたいということもありますが、私が彼女にこだわる最大の理由は、その彼女の死を選んだ動機にあります。
命をかけて我が子を前夫から守るという、母親としての、子の親としての、人としての「愛」の姿をそこに見るからです。
そして、昨今の親が子供を虐待して死に至らしめたり、少女を誘拐して殺したりすることと重ね合わせてしまうからです。
国の根幹は「教育」にあります。そして、「教育」の根本・原点は子供にあります。
「教育」という漢字の成り立ちそのものが、「子供」をベースに作られています。
つまり、子供を守る、救うということは、教育の原点であり、大人達の責任なのだと思っています。 教育の中立性ということがよく言われます。確かにそれはそうでしょう。中立とか中庸というものほど「危うい」ものはないと思っています。天秤ばかりのように、いつだって、どちらかに傾く危険性をはらんでいるのです。むしろ教育は、もっと、もっと「偏向」していいのだと思います。ただ、その偏向は、思想・信条とかイデオロギーによるものではなく、「子供」の側に傾くということです。子供の立場に立つということです。
子供達を取り巻く環境は年々悪くなっています。でも、いつの世にあっても、その国の将来を、この地球の未来を担うのは子供達なんです。子供達が夢を持てるような明るい社会にするために、教育の原点に立ち返って、大人達は、教育は今、何を爲すべきか、そのことを新しい年の初めに、皆さんと一緒に考えていきたいものだと思っています。
今日はお招きを頂きましてありがとうございました。